提灯探訪ブログ

提灯や祭りについていろいろなんでも話しています。

[仕事場だより]2012/03/06

本日も手仕事

記憶や感覚など実に個人的なもので、という話です。


私の父くらいの世代(戦前生まれです)ならそんなこともないようですが、私くらいの世代になると
「提灯」と聞いてイメージできることが各々バラバラのようです。

ましてそれを作るとなると尚更で、
私も弊社製作部に入りしばらく経って、今では毎日目にして手にして当然になっていることも、最初はいちいち驚いておりました。

入社してほんの数日の頃、「これお前にやらしたろ・・・」
と上司が私のところに持って来てくれたのは"赤塗り"という作業です。
赤提灯というのは和紙張りの場合、白無地の和紙で、張った提灯に文字・絵柄などを書いたのちに、その文字などの周りを少し残して白縁をつくりながら他を全て赤く塗るのです。

ここまで聞いて、ねぇ?
そらそうやろ、と思う方もおられるでしょう。

ところがこれが、当時の私には衝撃でありました。
渡されたのは直径40cm弱の白い丸型提灯で、店の看板
にされるのか店名とロゴマークが正面に、
そして決りの祇園ダンゴという柄がぐるりと回っていました。
「文字と柄のふち残して、あと赤塗って」
という指示に、
「へえぇぇっ、全部塗るんですか!?」
と聞き返したのを覚えています。
地の部分が大半を占めてんにゃし赤い紙で張った提灯に文字書いたらええやんか!、と思ったんですね。
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今では様々な理由も考えられるので、提灯の大半を、後から赤く塗ることに不思議も感じませんが、確かに私はその時、何と手間のかかるものだろうと感じたのです。

かくして私の日常は、笑けるほどの手仕事ぶりであります。

製作部 田中A